自身の免疫力を利用してがん細胞を攻撃する「免疫療法」。近年注目されているこの治療法について、そのメカニズムや適用されるがんの種類、期待される効果を解説します。
がん治療は、手術、放射線治療、化学療法が三大治療として知られていますが、近年、これらに続く「第四の治療法」として注目されているのが「免疫療法」です。免疫療法は、患者さん自身の免疫力を利用してがん細胞を攻撃する治療法であり、多くのがん種で効果が報告されています。この記事では、免疫療法の基本的なメカニズム、主な種類、そしてその効果と課題について解説します。
免疫療法とは?
私たちの体には、細菌やウイルスなどの異物を排除する「免疫」という仕組みが備わっています。がん細胞も、本来であれば免疫細胞によって異物として認識され、排除されるはずです。しかし、がん細胞は免疫の監視をすり抜ける巧妙なメカニズムを持っているため、増殖してしまいます。
免疫療法は、この免疫ががん細胞を攻撃する力を高めたり、がん細胞が免疫から逃れるのを防いだりすることで、がんを治療しようとするアプローチです。
主な免疫療法の種類
1. 免疫チェックポイント阻害剤
がん細胞は、免疫細胞に「攻撃しないで」というブレーキをかける分子(免疫チェックポイント分子)を発現させることがあります。免疫チェックポイント阻害剤は、このブレーキを解除することで、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬剤です。
2. CAR-T細胞療法
患者さん自身のT細胞(免疫細胞の一種)を体外に取り出し、がん細胞を特異的に認識・攻撃できるように遺伝子改変(CAR遺伝子導入)を施してから、再び体内に戻す治療法です。主に血液がんに対して高い効果が報告されています。
3. がんワクチン
がん細胞に特徴的な物質(がん抗原)を体内に投与することで、免疫システムを活性化させ、がん細胞への攻撃を促す治療法です。予防的なワクチンと、治療的なワクチンがあります。
免疫療法の効果と課題
免疫療法は、従来の治療法では効果が見られなかった進行がんの患者さんにも劇的な効果をもたらすことがあり、長期的な奏効も期待できる画期的な治療法です。しかし、すべてのがん患者さんに効果があるわけではなく、また、免疫関連の副作用(自己免疫疾患のような症状)が現れることもあります。
どの免疫療法が患者さんに適しているかは、がんの種類、遺伝子変異、免疫の状態など、様々な要因を考慮して専門医が判断します。
まとめ
免疫療法は、がん治療に新たな希望をもたらす最先端の治療法です。その効果は目覚ましく、今後さらなる発展が期待されています。がん共済アイリスは、このような最新治療も保障対象とする特約をご用意しており、患者さんが最善の治療を選択できるようサポートします。がん治療の選択肢を広げるためにも、免疫療法について理解を深めておくことが重要です。